JPCA Show 2012に行ってきました!

昨年は地震の影響もあってか、海外からのお客さんが少なかったようですが、今年はそこそこ賑わっていましたね。

今回に気なったのは「低粗化(粗化レス)・高密着」アイテムです。

銅をなるべく(まったく)粗化をしないで樹脂との密着強度を得るというコンセプトですが、その背景にあるのは「高周波対応とファイン化」です。特にICパッケージ基板(ICサブストレート)での適用が期待されています。

現状は密着強度を得るためには銅を粗化し、表面に凹凸をつけるという物理的手法が一般的です。(アンカー効果)

しかし高周波、ファイン回路ではそうすることが難しくなります。

導体に高周波電流が流れると、その電流は導体の表面を流れようとします。これを表皮効果といい、例えば1GHzの場合では導体の表面2umにほとんどの電流が流れるという計算になります。

そのため導体を粗化すると特に高周波環境下では抵抗となり、伝送損失が発生してしまいます。

そこで低粗化(粗化レス)の密着手法が必要とされているのです。

銅ベースで樹脂との密着が求められる工程としては以下が挙げられます。

 ・無電解銅めっき、銅箔とドライフィルムレジスト(DFR)の密着
 ・電気銅めっきとソルダーレジスト(SR)の密着
 ・電気銅めっきと積層樹脂の密着

DFRとの密着向上はファイン化に伴い、ラインアンドスペース(L/S)が10/10(um)を切るような回路が出てきており、高周波特性という意味では銅側のみならず、樹脂側も平滑な樹脂が用いられるようになってきています。
平滑な樹脂上に極細のDFRが形成されるのでどうしてもDFRの密着が甘くなり、その後の銅めっき中にDFRが剥がれてしまうという現象がおきます。

元々DFRのベースとなる無電解銅めっきの膜厚は0.5〜1.0umと薄いため過剰な粗化はできません。

今回のJPCA2012では0.05〜0.2um前後のエッチング量の極微細粗化を行い、DFRとの密着を確保する、または粗化しないで化学的に接着層を設けて銅と樹脂の密着を確保する2タイプが各社から紹介されていましたね。

極微細粗化タイプはエッチングすることで無電解銅めっき皮膜が断絶してしまわないか、化学密着タイプは接着層が回路部に残ってめっき析出を阻害しないかが評価のポイントになりますね。

SRや積層樹脂との密着は現在も粗化処理が用いられていますが、エッチング量は0.5〜1.0um程度が一般的です。これらもエッチング量が低減できるのは魅力的ですね。

今まではめっき厚をエッチングする前提で厚めに設定していたのが不要になります。ロスも減りますしファイン化に大きな原動力になりますね。

しかしめっき厚が薄くなるということは、薄くてもフィルド性を満足するめっき工法が求められるとも言えます。

各工程が連動していますので、トータルでの最適化が今後ますます重要になっていきますね。