なぜフィルドビアめっきが必要なのか

プリント基板の主要技術のひとつに「フィルドビアめっき(ビアフィリングめっき)」がありますよね。

今回から数回にわたってフィルドビアめっきのお話をしようと思います。

まずなぜフィルドビアという技術が生まれたのかといいますと、基板の小型化、省面積化が背景にあります。

下の絵を見てみましょう。

多層板においては各層間を電気的に導通させる必要があります。
絶縁層にレーザーでブラインドビアホール(BVH)を開けて、そのビアの壁面に銅めっきをし、下層と上層の接続をしていました。これをコンフォーマルめっきによる接続といい従来から用いられていた手法です。
そもそも電気めっきは下地に沿ってめっきが成長しますので、どうしてもビアの壁面にしかめっきを析出させることができなかったのです。

しかしめっきの添加剤技術の発達により、そのビアを銅めっきで充填させることができるようになりました。

それにより下層のビアの真上に上層のビアを配置できるようになり、基板の小型化、省面積化が可能になりました。

例えるならコンフォーマルビアはエスカレーターのように導通をとるのに対し、
フィルドビアはエレベーターのように導通をとることができます。

このフィルドビアめっきの技術はHDI(High Density Interconnection)基板と呼ばれるスマートフォンタブレットPCのメイン基板や、半導体パッケージ基板(ICサブストレート)などに用いられています。

このフィルドビアめっきの添加剤は今後も伸びていく市場で、いろんな薬品メーカーが参入する激戦市場となっています。

次回はフィルドビアめっきのメカニズムについてお話ししようと思います。