SAPとMSAP
プリント基板の回路形成方法はサブトラクティブ法(サブトラ)とセミアディティブ法(SAP=Semi Additive Process)が一般的です。
サブトラは基板全面の導体をエッチングで非回路部分のみ除去し回路を形成する方法です。
一方のSAPは全面シード層の上の非回路部分にあらかじめレジストを形成しておき、回路部分のみをめっきで形成する方法です。
サブトラはマザーボード等に使用され、SAPはICパッケージなど微細な回路が求められる基板に採用されています。
最近ではSAPのなかでもMSAP(Modified Semi Additive Process)と呼ばれる工法が普及してきています。
両者の工法をイラストにしました。
SAPは絶縁樹脂を積層し、全面にめっきのシード層として無電解銅めっきを形成します。
その後非回路部分にめっきレジストを形成し、フィルドビアめっきへと進みます。
一方MSAPは銅箔付の絶縁樹脂を使用しますので、シード層の形成が不要です。
しかしビア(BVH)の形成にブラウン処理などの前処理が必要となります。
あともう一点の特徴はSAPはシード層として全面無電解銅めっきを行いますが、その際に触媒として使用されるパラジウムを最後に取り除く必要があります。
MSAPはそのパラジウム除去の工程が不要となります。
SAPはシード層形成の全面無電解銅めっきの難易度が高いのですが、MSAPはそれが不要なため比較的容易にファイン回路を得ることが可能です。
よって海外の基板メーカーではMSAPの採用が進んでいると言われています。
普及するMSAPに対応するためにブラウン処理や銅箔シード層専用のエッチング液(クイックエッチ、フラッシュエッチ)などプロセスの開発も進んでいます。