硫酸銅めっきの塩素はなぜ必要か?

biztechの日記へのアクセス検索ワードを眺めていると、「硫酸銅 塩素 役割」「硫酸銅 塩素 なぜ」などのワードがしばしば見られます。

今回は硫酸銅めっき中の塩素イオンの役割についてです。
以前のエントリでは「抑制剤の作用を補助する役割」とざっくり説明していますが、少々詳しくお話します。

まず硫酸銅めっきの添加剤は一般的に下記の3種類で構成されています。
 ポリマー (界面活性剤)
 レベラー (窒素系化合物)
 ブライトナー(硫黄系化合物)

塩素イオンは基板の銅表面に吸着します。その塩素とめっき液中のポリマーが静電気的な作用で銅表面に膜を作ります。
その膜がめっきの電気的析出の抵抗としてはたらき、析出を抑制する作用があるのです。

ですので塩素イオンの存在していないめっき液でポリマーだけを添加しても、析出抑制効果はほとんどみられません。

塩素はポリマーの吸着サイトのようなはたらきをしているということです。

この効果を利用して塩素イオン濃度を上げてめっきの析出を抑制したり、また塩素濃度を極端に下げてポリマーの効果を抑えたりする工夫もなされています。

ただし塩素イオンが過剰になると含りん銅アノードの表面にCuClを形成してしまい、アノードが不動態化してしまうというトラブルもありますので注意が必要です。